Chic70年代正統派ディスコの代表格シックです。「今さら」ですが、才人ナイル・ロジャースのカッティングギターとバーナード・エドワーズのベースラインが特徴。後の80年代にパワー・ステーションでも活躍したトニー・トンプソンのドラムも高い評価を得ました。

でも、シック自体は「凄い好き」とは言えません。なぜなら、Chic(あかぬけた)というぐらいですから、やけに格好いいんですね。都会的で洗練されている、といった感じでしょうか。ソウルファン的な好事家にはウケるのでしょうけど、私にとって大切な指標であるディスコの「おバカ度」が非常に低いんですよ。

ディスコでもよくかかっていましたけれども、あんまり元気に踊れないんです。何分か踊ってから席に帰ってしまうパターン。まあ、初期のDance Dance Danceあたりは、しっかり「ズンドコ」な感じもあって馴染めるのですが。

個人的には78年まで所属したオリジナルメンバーのボーカルのノーマ・ジーンが好きですね。彼女はソロでSaturday、High Societyという曲を出したのですが、前者が特にアップリフティングでよいのです。90年代にハウス風にリメイクもされました。隠れた名曲だと思っています。

シックについては、写真のベストがまずはオススメでしょうか。ロングバージョンがふんだんに入っています。あとは82年発売のTounge In Chicも佳作。Hangin'という曲は、ナイル・ロジャースの跳ね上がったギターが以前より強く打ち出されていて良いです。

ナイルは80年代、マドンナ、デヴィッド・ボウイ、ダイアナ・ロスなどビッグスターのプロデュースを手がけて大成功を収めています。バーナードは96年に東京のホテルで肺炎で死去。トニーも2003年にがんで亡くなっています。ともに40代、早死にでした。