Gloria Gaynor80年代がしばらく続いたので、再び70年代に光を当てたい。米国では「ディスコはこの人で始まり、この人で終わった」とまで言われるほどのディスコクイーン。グロリア・ゲイナーである。

1949年生まれ。60年代から「ソウル・サティスファイアー」などのあまり売れないグループに所属した後、1974年に「ネバー・キャン・セイ・グッバイ」がヒットしてスターに。ディスコミックスの第一人者トム・モールトンも参加していて、ビルボードのディスコチャートで四週連続1位、ポップチャートでも9位まで上昇した。米国のラジオでかかった最初のディスコともいわれている。

グロリアはけっこう波瀾万丈な人だ。1978年にステージから転落して脊髄を傷めたり、その後に二度も交通事故に遭ったりとアクシデントが続いた。さらには酒、ドラッグにもおぼれた時期があり、キリスト教に救いを求めた時期もあった。

そんなころに、かのディスコスタンダード「アイ・ウィル・サヴァイヴ」(78年末)が大ヒット。ディスコどころかポップチャートでも3週連続1位となった。よほど心に期するものがあったのか、グロリアは後に、この曲の歌詞のさびの部分を「神への感謝」を訴えた内容に変更もしている。

ただ、その後、本人はなんとか「生き残った」のだが、ディスコの方は米国内で下火となっていったのは周知の通り。グロリアも人気が下降していくのだけれど、個人的には83年発売のアルバム「I Am What I Am」はなかなかの佳作だと思っている。アルバムタイトル曲がディスコチャートで3位まで上がる健闘を見せたほか、Striveというど迫力のハイエナジー風の曲も収録されている。

それからしばらく後、2000年になって、しぶとく復活もしている。Just Keep Thinking About YouとI Never Knewがそれぞれ、ディスコチャートの1位に輝いているのだ。あなどれない「元祖ディスコディーバ」である。