Cerrone 3久しぶりの投稿である。気合を入れて紹介したいのは、70年代中期から活躍していたこのCerrone(セローン、セローニ)。典型的なディスコ音楽の源流を作ったといえる人なのである。ディスコという意味では地味な国のフランスの人でありながら、シンセサイザー音をいち早く取り入れて、後の欧州系ディスコや、ひいては現在に通じるテクノの流れを作った偉人だと私は思っている。

彼の代表曲は、Love in C Minorと写真のアルバムに入っているSupernatureの2曲。特に後者は、77年の発売ながら、既に電気音の長所をあますところなく採用した名曲だ。シンセ技術が未熟な時代、例えば各楽器音をシンクロさせることが技術的に非常に難しかったにも関わらず、シンセ、ボーカル、効果音などが見事に調和している。曲調はやや神秘性を帯びた緩やか系。BPMは120ぐらい。何度も何度も採りなおしながら録音したと思われる労作なのだ。今のクラブでも十分、使えることうけあいである。

発売から5年近く経った81〜82年ごろになっても、私の地元だった札幌のディスコでは、盛り上げ時間帯が終わり、一息ついた時間にふとかかっていた。当時、同様にディスコヒットを飛ばしていたゲイリーズ・ギャングとか、英国初期テクノダンスの雄であるヒューマン・リーグなんかと一緒にかかっていたのを思い出す。

さて、やっぱり70年代ものだけに、12インチのアナログやLP盤は入手が困難になってきている。まずはCDをオススメしたい。Hot Production盤とMaligator盤の2種類が出ている。Hot…はたいてい音が良くないのだが、この盤はまずまずの線を行っている。CDジャケのうたい文句の通り、マスターテープが入手できた例なのだろう。例によって2、3曲目とつながっているのだが、非常に自然で無理がない。つなぎ部分も聞き所になる。

ただ、一つ難点がある。CDはいずれも、なんと肝心のSupernatureが冒頭、LPのものと比べて30秒ほど切れているのである。何でなんだろう?理由は私にも分からないが、残念なことだ。完全10分超バージョンは、Atlantic Dance ClassicsというダンスコンピCDにのみ収録されている。米アマゾンで比較的、たやすく手に入るのでチェックしてみていただきたい。

Cerroneは息の長いアーチストで、現在までアルバムを何十枚も出し続けていることでも知られる。新作のHysteriaは、かつてのディスコのテイストをしっかり生かしていて感心だ。同じように最近、ハイエナジーのBobby Oも新作を出したが、音はいかにも現代に媚びていて(テクノあたりを意識しすぎ…)私は違和感を覚える。Cerroneは良い意味でこだわりがあって好きだ。ジャケットもかつて以上にエロくなっているし(?)、健在ぶりをアピールしているかのようである。