
表紙に見えるとおり、本当にレアな12インチが並んでいます。カルト、イエロー、アイシクル・ワークス、ステファン・ティン・ティン・ダフィ…。普通のアルバムバージョンならけっこうありますが、12インチについては、ほかのCDではめったに見かけません。
米国アマゾンで手にいれたのですが、特筆すべきは3枚組みで2000円もしないという価格でした。音ははっきり言って「よくない」方ですが、その珍奇性と価格で「買い」のCDだと思います。
思えば、80年代前半から半ばにかけては、本当にいろんなジャンルの曲がディスコ空間で多重奏を奏でていました。もともと黒人系ダンスミュージックの権化のようなマイケル・ジャクソンやアース・ウインド・アンド・ファイヤーはもちろん、メン・アット・ワーク、マドンナ、ジャーニー、クラッシュなどなど、選曲はまったく節操がなかったのです。
この時代、ビルボードチャートに入っていた曲のほとんどは「踊れる」曲だったという記憶があります。やはりシンセやリズムマシーンなどの電子楽器の発達が背景にあると考えられます。テンポが正確な上、キックやメリハリが利いていて、ステップを踏みやすいという特徴があるからです。
このCDは、そんな80年代でも英国やカナダのニューウェーブ系のアーチストが顔をそろえています。YESの「オーナー・オブ・ア・ロンリーハート」で有名なトレバー・ホーンがプロデュースしたプロパガンダの「Pマシーナリー」や、ヒット曲「エノラゲイの悲劇」で知られるOMDの「イフ・ユー・リーブ」の12インチバージョンなんかも入っています。とにかく貴重です。
SPGの「Aternative」シリーズには、「Clasicc Alternatives Vol1〜3」とういうシリーズもあり、これも低価格で秀逸です。特にVol2に入っているロミオ・ボイドの「ネバー・セイ・ネバー」は思い出の曲。札幌の大箱ディスコでは、B-52'sの「プライベート・アイダホ」や英国スカ系のスペシャルズ「リトル・ビッチ」あたりの高速テンポの曲とセットでよくかかっていました。40歳直前になった今は、踊ろうとしても、もう動悸、息切れが激しくなって、体がついていけそうもありません。
黒人も白人も、ロックもパンクも。「ごった煮」状態の80年代ディスコを象徴するCDでもあります。