
1960年代、スコットランドでアラン・ゴーリー(Alan Gorrie)らが結成したR&Bのカバーバンドがルーツ。70年代初頭、「アベレージ・ホワイト・バンド」として再編成し正式デビューしました。そのころ英国では、「ノーザン・ソウル」といわれる黒人音楽ブームが起きていて、AWBもそんな波に乗っかって登場してきたわけです。まず英国内で人気を集め、続いて米国に進出。白人ソウル系の有名バンドに成長していきました。
1974年に2枚目のアルバム「AWB」を発売し、これが全米で大ヒット。シングルカットされた「Pick Up The Pieces」はビルボード一般チャートで1位に上りつめました。この曲は、同時期のコモドアーズ「マシンガン」などと並ぶインスト系ディスコの代表ですね。アルバム全体の曲調は、同様に初期ディスコの名曲を数多く世に送り出したアイズレー・ブラザーズなんかにも似ています。
実は、セールス的にはこの「Pick Up…」がピークでした。その後は「Cut The Cake」(75年)などのヒットを出しつつも、徐々に下降線を辿るわけですが、80年発売の10枚目アルバム「Shine」に入っている「Let's Go 'Round Again」は押しも押されぬ有名ダンスクラシックですね。それまでのシブい雰囲気とは少々違って、ディスコブームを意識したやけに明るい調子でして、「安心して踊れる」佳曲ではあります。
ただし、このころにはディスコブームは既に下火になっていました。80年代にはAOR風のアルバムを発表するなど工夫をしたようですけど、やっぱり落ち目になってしまいました。個人的にも、ディスコで聞いたピック「Pick…」とレッツ「Let's…」以外は、あまり印象に残っていません。スコットランド系ディスコ(?)という意味では、希少価値はあるでしょうが。
再発CDはたくさん出ています。それぞれテイストの違うアルバムを10枚以上、出したアーチストですので、まずベスト盤から入って、各アルバムをじっくり探索していく……というパターンにはちょうどいいグループかもしれませんな。