Narada Michael Waldenもうそろそろ、おバカ系やニューウェーブ系などの別方向に移ろうと思いきや、今回もソウル・ファンク系であります。ここで一区切りつけることといたしましょう。80年代の「コラボ王」ナーラダ・マイケル・ウォルデンであります。

私自身は83年、札幌の「シャポー」というディスコで、「リーチ・アウト」(全米ディスコチャート19位)を聞いたのが最初の出会いでした。いわずと知れたフォートップスの名曲のリメイクですが、その店のDJが特別に気に入っていたのか、一日に何回もやたらとかけていたのを思い出します。「よっこらしょ、どっこいしょ♪」みたいな変わったリズム進行を特徴とする……と意味不明ですが、非常に踊りやすい曲ではありました。

さらに85年ごろには、パティ・オースチンとのデュエット「ギミー・ギミー・ギミー」なんてアップテンポな曲を気に入ってしまい、ラジカセで聴きまくっていた記憶が私にはあります。

1952年、ミシガン州カラマズー(地味な街)生まれ。もともと有能なドラム奏者として知られていたナーラダさんは、大学を出てフロリダ州に移り、いろんなロックバンドの助っ人ドラマーとして音楽活動を本格化させました。才能が認められ、77年には名門アトランティックレーベルからアルバムデビューを果たします。

79年には、「Awakening」、「The Dance Of Life」の2枚のアルバムを発売しました。どちらもシックみたいな正統派黒人ディスコでして、前者には「I Don't Want Nobody Else」(R&Bチャート9位)、「I Shoulda Loved Ya」(同4位)などの小粋なダンサブルナンバーが収録されておりました。

80年代に入ると、ソロとしての活動は少し地味になっていきますが、「お助けドラマー」とか、プロデューサーといった裏方の仕事で大ブレイクしました。

コラボレートしたアーチストは、ステイシー・ラティソー、アル・グリーン、レイ・チャールズ、ダイアナロス、スティーブ・ウィンウッド、ホイットニー・ヒューストン、パティー・オースチン、シスター・スレッジ、ジェフ・ベックなどなど、ジャズ、ソウル系からロックまで、多種多様かつ豪華であります。驚くほど器用で多才な人物だったことをうかがわせます。 再発CDは、けっこういっぱい出ています。写真は国内盤のThe Dance Of Lifeでして、“ディスコ満開”時代のナーラダさんの心意気をトクと堪能できる一品です。