Dionne前回紹介のアレサ・フランクリンに次ぐぐらいの実績を誇る1940年生まれの女性ソウルシンガー、ディオンヌ・ワーウィック。60年代から「I Say A little Player」(67年、一般チャート4位、後にアレサも歌っている)、「I'll Never Fall In Love Again」(69年、同6位)などの大ヒットを飛ばしています。白人作曲家の大御所バート・バカラックと組んだ時代が長く、ソウルというよりもポップ、しかもミディアム・スローやバラード風の作品が多いのが特徴です。

ただ、アレサと違い、70年代からディスコ系のナンバーもいくつか繰り出しています。75年には「Take It From Me」という曲がディスコチャート7位にまで上昇。さらに79年、バリー・マニロウをプロデューサーに迎えて制作・発売した「Dionne」には、「Out Of My Hands」と「Who, What, When, Where, Why」というディスコ曲が入っています。特に前者は「いけいけドンドコ」のもろディスコで、「この人もこんな曲を歌っていたのか」と驚かされます。

80年代に入ると、ディスコで一時代を築いたビージーズのバリー・ギブのプロデュースによるアルバム「Heart Breaker」(82年)を発売。中でもシングルカットされたアルバム同名曲は、ディスコではなくてAOR風なのですけど、「いかにもビージーズ」という感じでして、全米一般チャート10位まで上昇するヒットとなりました。私自身も当時、学校をさぼって通った喫茶店の有線から、よくこの曲が流れていたのを思い出します。

翌83年には、この時期のアレサと同様、ルーサー・バンドロス&マーカス・ミラーとのコラボレーションにより、アルバム「How Many Times Can We Say Goodbye」を発売。この中では「Got A Date」というダンスナンバーが、シンセを多用したソリッドな曲調で出色の出来です。一般チャートでは無視されましたが、R&Bでは45位、ディスコでは15位まで上がりました。非常にいい曲ですが、YouTubeなどで音源が見つからず、とても残念です。

彼女はやはり少女時代、地元のニュージャージー州の教会でゴスペルを歌いはじめ、そこから歌手デューしていった人です。叔母は「Think It Over」などのディスコヒットで知られる歌手シシー・ヒューストン、その娘、つまり従妹はあのホイットニー・ヒューストンです。かなりの音楽一族といえましょう。60代後半になった現在は、歌手活動のかたわら、AIDS撲滅運動などの慈善活動にも力を入れているようです。

CD「Dionne」(上写真)は、米BMG盤で出ています。おススメ曲「Got A Date」については、3年前に発売された英盤の3枚組ボックスセット「Legends」(下写真)に収録されています。
Dionne Warwick