Gazeboいやあ、名前のリズムが似た感じなのでうっかり間違えました。前回ファルコを紹介しましたが、本当はガゼボを取り上げるつもりだったことに後で気付いたわけです。……というわけで、イタロディスコの流れを取り戻すべく、慌てて今回はガゼボです。

そう、彼の本名は芸名ガゼボ(英語で言う「見晴し台」、「展望台」、「あずまや」)――とは似ても似つかぬ「パウロ・マッツォリーニ(Paulo Mazzolini)」。イタリア人外交官を父に持ち、1960年、その父の赴任先レバノンで誕生しました。

彼の代表曲はなんといっても、ロマンチックな美メロ路線全開の「アイ・ライク・ショパン」(1983年)。これが欧州で大ヒットして名をあげました。まだイタロディスコがブレイクする直前ぐらいの時期でしたが、「これが美メロでなくてなにが美メロなんだ!!頼むから教えてくれ!」と言わんばかりに、とにかく叙情的で繊細極まるピアノの旋律が印象的です。

もちろん、美メロ大好きの日本でも大人気です。当時、アイドル小林麻美も「雨音はショパンの調べ」というタイトルで売り出してヒットさせています(なかなかよい邦題だとは思います)。ただ、現実にディスコのフロアでかかると、ちょっともたれ気味でしたかね。なにしろ美し過ぎて、私などは踊るにも気が引けました。「ヒューウ、ヒューウ!パオーン!」と狂ったように踊るムキには、ドン引きされていた感もあります。ピークタイムには到底向いていませんでした。

この人はほかにも、「ショパン」に先立って発売されていた「マスターピース」とか、「テレホン・ママ」、「ルナティック」などのおんなじ調子の「メロメロ美メロ」のイタロディスコのヒットを、おんなじような時期に世に送り出しております。

中でも「ルナティック」なんてのは、ちょいとアップテンポで軽快で、バイオリ〜ンの音色も随所にクラシカルに入っちゃったりしてます。「さあみんなでギャロップ、ギャロップ♪」(ロンパールームより)ってな感じもありまして、かなり正統派ディスコっぽいので好きですね。

うんうん、今あらめて聴いてみると、いやはや、どうして、なかなかによろしいぞよ(表現ふるい)、ガゼボ君。調べてみたら、21世紀の現在も、欧州チャートの上位に入るヒット曲を出しているそうじゃありませんか(偉大)。「ショパン」にしても、開店後の早い時間や深夜帯、それに盛り上げハイテンション期の合間の“下げ下げタイム”には非常に向いていたということに、いまさらながら気付きました。

CDはけっこう出ているので、詳しく説明するまでもありません。写真はその一つ、約10年前に発売された独BMG盤。ただし、「80年代ディスコのお楽しみ」12インチバージョン(この人のは結構長尺で面白いのが多い)については、あまりCD化されていません。レア度が低い12インチレコードを中古店、またはヤフオクでコツコツ探すなどして、「80年代のあの日々」をノスタルジックにほろ苦く味わうのも一興かもしれません。春ですし。