
60年代に大規模な黒人暴動が発生したことで知られる米ロサンゼルスのワッツ地区生まれ。貧しさの中で歌手を志し、70年代にオーケストラ・ディスコで一時代を築いたバリー・ホワイトに見出され、バック・ボーカリストなどの音楽活動を本格化させました。それでもなかなかチャンスに恵まれず、40歳になってようやく「Gonna Get Along Without You Now」がヒットして、ディスコ歌手として名を上げました。
日本ではそんなに有名ではないものの、特に欧米のゲイ・ディスコ・フリークの間では人気が高かった人です。ジャンル的には柔らかめのハイエナジーが中心。メロディーラインが美しいカバー曲が多く、特に最大のヒット「If You Could…」は、サビの部分が伸びやかで高揚感があります。
この曲は、もともとカナダのロックシンガーGordon Lightfootが69年にヒットさせており、それをヴィオラがカバーして再ヒットさせました。4年前に当ブログで紹介したことがあるディスコ映画「54」(98年)でも、ハウスディスコグループ「Stars on 54」によるカバーが主題歌として使われています。
よく聴くとこの曲のメロディーのサビは、70年代にジョージ・ベンソン、さらには80年代にホイットニー・ヒューストンがヒットさせたバラード「Greatest Love Of All」にとてもよく似ています。実際、80年代後半には「Greatest…の作者が、Gordon氏の曲を盗用した」との疑惑も持ち上がったようですね。まあ、それぐらい普遍的に耳ざわりの良いメロディーだったということにはなります。
ほかのディスコ曲としては、「Stormy Weather」(82年、同4位)があります。個人的には、後にネイキッド・アイズも歌ってヒットさせたカバー曲のもろディスコ「Always Something There To Remind Me」(80年)とか、シブいR&B調の「Dare To Dream」(85年)なども、なかなかヨイ出来だと思います。
特別に歌が上手いわけではありませんが、ややハスキーで個性的な声質が持ち味でした。メジャーにはなれなかったけれど、いつまでも記憶に残りそう。そんな歌手だったと思います。
CDは、写真の加Unidisc盤のほか、米Hot Productions盤のベストがあります。ただ、この人は80年代後半以降、ハウスリメイクの曲を大量にリリースしており、これらのベスト盤にもかなり混ざってしまっています。私のような70〜80年代のディスコ好きにとって最良のCDは、今のところ見当たりません。
*5月20日追記
久々の投稿がやっと終わった…とホッとしていたら、直後に「どうしてもお前のブログで俺のイベントを宣伝してほしい」とのメールが、海外から突然届きました。場所はなんと!…フランスはパリ。しかも日付は5月23日…いくらなんでも無茶です。しかし、長年の友人にて、ダメもとですが、義理を果たすべくここに追記で掲載させていただきます。
店名:「La Java」(参考地図)(英文ガイド)
住所:「105 Rue du Faubourg du Temple 75010, Paris, France」
地下鉄駅:「 Belleville 」
日時:2009年5月23日午後11時〜(現地時間)
DJ名:Jussi Kantonen (ユッシ・カントネン=下右写真=、HP)
この人は、当ブログでも何度か取り上げているフィンランドのディスコ研究家で、本業は建築家。「Saturday Night Forever」という著名なディスコ解説本の著者であるほか、欧州各地を駆け巡る売れっ子ディスコDJでもあります。
ものすご〜く日本びいきで、毎年のように来日しては、コアなディスコ・レコード(西条秀樹とかピンクレディーとか)や、日本のポルノおよびアクション女優(池玲子とか梶芽衣子とか)のむか〜しのビデオとかを大量に購入して帰るという「フィンランドが生んだサブカル(特に日本モノ)の権威」でもあります。ディスコ的にも、これまでグロリア・ゲイナーとかボリス・ミドニーとかD.C.ラルーとか、メジャーどころのディスコ・ミュージシャンへのインタビューを次々と実現しており、世界ディスコ界でもリスペクトされているのは事実です。私もいつも、彼の博学多識ぶりには感服しております。
ですから、私だって、とても面白そうな彼のプレイを体験(うっふ〜ん)してみたいのはやまやまです。しかし、なにしろ3日後のパリ。万が一、パリ界隈在住者または旅行予定者でこのブログをご覧のディスコフリークの方がおられましたら、立ち寄ってあげてくださいませ。何卒よろしくお願いいたします。ローテーションとしては、「時代は70〜80年代初頭。最初はマカロニ・ウエスタン系から入って、途中カンフー系をほどよく絡めて、後半にテーマ・オブ・ジャパンで盛り上げていこうと思っている」(!?)とのことです。う〜ん、あばんぎゃるど

