
1973年、後にキャンディ・ステイトン(Candi Staton)やマイティー・クラウド・オブ・ジョイ(Mighty Cloud of Joy)のディスコヒットをプロデュースしたデーブ・クロフォード(Dave Crawford)のプロデュースによりアルバム「To Know You Is To Love You」を発表。これがけっこうなダンサブル路線でして、前人未到の「ブルースディスコ」をここに実現して見せたのです。
それもそのはず、録音は、これまで当ブログで何度も解説してきたフィラデルフィアサウンドの生産元「シグマ・サウンド・スタジオ」。シングルカットされた表題曲でもお分かりのとおり、渋〜〜いボーカルワークと「ブルースギターの神様」ぶりは濃厚に残しつつ、ドラムはかのアール・ヤングが担当し、荒削りながら初期ディスコの「ドンドコ」風味を醸しているのです。
続く1974年にも、同じデーブ・クロフォードのプロデュースによりシグマで録音し、似たようなバックミュージシャン陣を起用したアルバム「Philadelphia」(上写真)をリリース。前作以上にディスコなノリでして、ここに「ディスコ&ブルース」という珍奇?かつ素敵なジャンルが確立したのでした。
特に表題曲のシングル「フィラデルフィア」は、なんとまあ、全米ディスコチャート上位にも、ちょろりと顔を出す始末(最高6位)。アール・ヤングも「もうこうなったらとことんドンドコやったれ!」とばかりに、ディスコビートをかなり前面に押し出しています。とにかくYouTube動画で聴いてみて下さい。↓
しかし、ここで大切なのは、かつて紹介したジェームズ・ブラウンやアイザック・ヘイズやエドウィン・スターなどのように、「ソウルアーチストが無理やりディスコ化した」ような曲調ではないことです(そんな変身ぶりも愛嬌があって大好きだが)。極上のブルース・ギターと、アールヤングのディスコビート、さらにファンクディスコのホーンセクションが本当の意味で融合した、ディスコ史に残る珠玉のコラボレーションだと私は思います。
BBキングは1925年、米ミシシッピー州生まれ。1951年に伝説の名曲「3 O'clock Blues」が初めてビルボードR&Bチャート1位に輝いて以来、第一線で活躍し続けてきたのですが、なんと80代半ばに入った現在も現役歌手としてツアーを回っているという超人でもあります。
そんな老境のキングさんがかつて一瞬、試みた茶目っ気ディスコ。私はほかのアルバムは興味がないので持っていませんが(笑)、上記フィラデルフィア発の2枚だけは必聴なのであります。CD化もされております。