One Way今回は元気いっぱいに「ワン・ウェイ」だよん!!!! とはいうものの・・・う〜ん、地味、地味です。どうにも心ときめく曲がない・・・というのがこの「ワン・ウェイ」なのであります。

この人たち、ものすご〜くアルバムを出しています。1970年代後半に、アル・ハドソンなるミュージシャンを中心として「アル・ハドソン&ザ・パートナーズ」というベタなバンド名で結成し、以後、80年代後半まで年1回ぐらいのペースで10枚以上もリリースしています。「ワン・ウェイ」への改名は80年のことでありました。

特筆すべきは、「I Want To Thank You」(82年、R&B37位)などのヒットで知られるアリシア・マイヤーズ(Alicia Myers)が、80年ごろまでリードボーカルとして参加していたことですね。

ディスコ的にまずヒットしたのが、1979年の「You Can Do It」(米ディスコチャート10位、米R&B52位)です。これがまた「どっかで聞いたことあるじゃん!」のノリ。そう、手っ取り早く思い出すのはクール・アンド・ザ・ギャングの「レディース・ナイト」(79年、ディスコ5位、R&B1位)ですね。どう考えても似てます。曲調的にどっちが影響を与えたのか、また与えられたのかはともかく、超メジャーなクール・アンド・ザ・ギャングの陰に隠れてしまった感は否めません。

この後、ワン・ウェイに改名してからも哀しい。彼らの代表曲でもある「Cutie Pie」(82年、ディスコ29位、R&B4位)は、同時期にバカ売れしたZAPPの「Dance Floor」(82年、R&B1位)みたいなエレクトロファンクでして、個性を発揮するに至りませんでした。

このほかにも、「Shine On Me」(83年、R&B24位)、「Mr. Groove」(84年、同8位)といったダンス系の中ヒット曲を出すには出したのですが、どうにも記憶には残りにくいグループのままだったのでした。個人的には、85年のアルバム「Wrap Your Body」に入っている「Let’s Talk」なんてけっこうアップテンポかつダンサブルで気に入っているのですが・・・これまた当時大スターだったプリンスとか同系列のTime(米米クラブにも似ている「Jungle Love」とか)の模倣っぽいのが残念でした。

そんな中、86年に出した「Don't Think About It」(ディスコ44位、R&B5位)は、なかなか落ち着き払っていて素晴らしいミディアムな曲です。私は当時、バブル時代の深夜・未明の六本木ディスコとかカフェバー(トホホ)でよ〜く耳にしたものでした。ただし、これまたその2年前に出たデニス・エドワーズの珠玉の名作「Don't Look Any Further」(R&B2位)をどことなく思い出させてしまって損です。

似た感じの中堅R&Bグループという意味では、ちょっと前に紹介したローズ・ロイスも頭に浮かんできますが、ローズのように「バラードもイケてますよ」的なアピール度にも乏しい。「すべての芸術は模倣から始まる」―を地でゆくとはいえ、そこそこの実力と運を兼ね備えていただけに、結果的にはなんとも残念なグループだったと言わざるを得ません。

写真は米MCAのベスト盤CDです。アルバムは、意外にもここ数年でかなり再発が進めれています。でも、なにしろいっぱいリリースしているので全部揃えるのは大変でしょうし、当たり外れも大きいので怖いのであります。