ディスコ界ではときどき、ミョーに子供っぽい曲が話題になることがありました。70年代でいえばディスコ盤セサミストリートとか、ミッキーマウスなどのディズニーもののディスコ盤とか、さらには、かつてちょっと紹介したこともある「ディスコ・ダック」とかね(トホホ)。子供をマーケティングの対象にしていたことがミエミエなわけです。しかし、私はそんな「お子さまディスコ」をわりと好んでおりました。現役でディスコに通っていた80年代でいえば、代表選手は「ハッピーソング」でしょう。ディスコでホントよく耳にしたものです。
めちゃくちゃミーハーな曲ですが、随所に入ってくる幼児や赤ん坊の無邪気な掛け声と、ピンポンパン並みに確信犯で単純で無防備なメロディー展開には、もう無性に好感をもちました。まさに「はっぴ〜♪そんぐ♪」であります。男女とわず、かなりの人気だったことを思い出します。大人の理屈やソウル(魂)なんてのは、無節操なディスコのフロアでは、ときにジャマになることもあるのですね(きっぱり)。
名曲(!)ハッピーソングは、もともとはイタリアの「ベイビーズ・ギャング」という子供だけで編成したグループが83年に発売し、本国でヒット。さらにボニーMのプロデューサーであるフランク・ファリアンがこの曲を発掘して、ベイビーズギャングをボビー・ファレルなどのボニーMのメンバーとくっつけて「Boney M. and Bobby Farrell With The School Rebels」という超長いグループ名でカバー曲を売り出すことを画策しました。
さすが機をみるに敏なファリアンさん、それがまた成功したわけですね。曲調は、ベイビーズの原曲のドラムビートを重めにしてめりはりをつけて、もっとダンサブルにした感じです。カバー曲の方は欧州や日本のディスコを中心に大ヒットし、特にボニーMの本国であるドイツでは、ポップスチャートのベスト10(7位)にも入りました。
大人が買うにはちょいとはばかれるような12インチ盤のジャケット(上写真)だって、考えようによっては実に開放的で味わい深いシロモノだと思います。真ん中へんにいるボビーファレルさんも、とっても楽しそうですよね。完全に油断しちゃってます。80年代イタロディスコの「守備範囲の広さ」を証明する一枚といえるのではないでしょうか。
さて、主役の子供たちベイビーズ・ギャングですが、ほかにも「America」とか、「Challenger」、「My Little Japanese Boy」、「Disco Maniac」といった可愛げたっぷりのディスコ曲があります。
個人的には特に「America」なんていいですね。意外や意外、日本の「こきりこ節」などの民謡にもどことなく似たのどかさが持ち味の、ほのぼのディスコであります。
ちなみに、ハッピーソングを始めとするベイビーズギャングの主な曲は、スパーニャ(Spagna)という女性のイタロ系シンガーソングライターが軸になって作曲していました。彼女自身、「イージー・レイディー」(86年)とか「コール・ミー」(87年)といったイタロディスコのヒットを飛ばしております。この2曲は別に子供っぽくもなんともないのに、ハッピーソングみたいな超キッズな曲までよく作れたもんだと感心します。
ベイビーズのCDについては、2001年、「イタロのドイツにおける砦」ともいえる独ZYXレーベルから出ました(下写真)。これが「ハッピーソング」(原曲)、「アメリカ」など主要曲が収録された唯一のCDアルバムといってよいと思います。ただし、ジャケットは素っ気なさすぎです。